こんにちはとーしばブログのとしです。
ドイツ旅行で2019年12月にポツダムを訪れ、米ソ冷戦の震源地になったツェツィーリエンホーフ宮殿に行きました。
そこでなぜ日本に2発の原子爆弾を使用したのか? アメリカの思惑が見えてきました。
アメリカが原爆を使用した理由には表と裏の二つの理由があります。
核兵器を使用した表と裏の二つの理由
一つ目は日本との戦争を終結させるため、もう一つ裏の理由は新しい敵であるソ連に対抗するため、日本の降伏前に核兵器を実戦で使用することで、どれだけ威力を発揮するかの実験だったのです。
終戦直後、アメリカは原爆による放射能や人体に与える影響、都市に与える破壊力などを研究するための調査団を広島、長崎に派遣します。
アメリカが核兵器を実戦で使用したことで、第二次世界大戦後、米ソ連 新たな戦争のフェーズに突入します。
太平洋戦争での日本軍の激しい抵抗
アメリカは12月7日の真珠湾攻撃により日本との戦争に突入します。当初は日本が優位の戦争が続きますが、ミッドウェー海戦を境に日本は少しずつ追い込まれていきます。
日本は最初は万歳突撃での短期決戦の戦略で戦いますが、ペリリュー島での戦いを境に日本側は戦法を変更して地下要塞に潜伏からのゲリラ攻撃と夜襲での長期戦略に切り替わります。その戦法は硫黄島での戦いや沖縄戦でも使われます。
死を恐れず、最後の一人になるまで戦い続ける日本兵との戦いでアメリカでも多数の死傷者を出します。
アメリカは当初は九州から日本本土への上陸作戦を計画していましたが、あまりに日本軍の抵抗が激しかったため、アメリカ側が予想以上に死傷者が出るのでは?と懸念します。
もし本土決戦があれば日本側とアメリカ側にさらに多数の犠牲者が出ていたことは明白です。
戦争が終わる時期ぐもう一年くらい後だったかもしれません。
最後まで徹底抗戦の準備をしていた日本軍でしたが、二発の原子爆弾の投下により、日本は降伏しました。
アメリカ側でも日本でも戦争を早く終わらせるためという理由が一般的に広く知られている表の理由です。
ソ連との新たな戦争のための実験場
アメリカが核兵器を日本に使用したもう一つの裏の理由が、新たなライバルのソ連との戦争を想定していたからという理由です。
世界ではイギリスとフランスがリーダー的存在として世界のトップにいましたが、二つの世界大戦でその力を失います。
代わりにヨーロッパではドイツが台頭 アジアでは日本が新たに台頭しますが、連合国軍とソ連との戦いにより長くは続きませんでした。
すでにアメリカとソ連は日本とドイツが降伏する後の新たな支配体制を考えていました。
そのためアメリカは少しでも優位になるための切り札が核兵器だったのです。
去年、ベルリン郊外のポツダムを訪れた時、アメリカ、イギリス、ソ連がポツダム会談をした場所を見学しました。その場所は米ソの戦後世界の秩序と分割の場所でありながら、なぜアメリカが原爆を使用したのか理由を知れた場所でもありました。
広島・長崎に使用された二つの爆弾
日本のほとんどの街が空襲で焼け野原になっているなかで、広島と長崎をはじめ日本のいくつかの都市を無傷に近い状態にしておきます。
原子爆弾がどれほどの威力があるかを実験するためのものです。
広島にはウラン型爆弾を使用して、長崎ではウラン型爆弾よりさらに威力があるプロトニウム型爆弾を使用します。
日本が降伏するとアメリカは現地に医師や調査団を派遣して、原子爆弾がどのように街を破壊し
その殺傷能力と威力を研究して、核兵器から出た放射能や熱線が人体にどんな影響を与えるのかを調査しました。
アメリカは戦後さらに威力のある水爆の開発をしています。日本の戦艦長門もビキニ環礁での水爆の実験のために実験台として使われてしまいます。
その後もアメリカは世界各地で実験を繰り返します。
日本への原爆投下にソ連は驚愕する
ソ連はアメリカが日本に対して兵器を使用したことで危機感を持ちます。
すでにアメリカはナチスドイツの迫害から亡命してきた優秀なユダヤ人科学者に核兵器の開発を任せて秘密裏に核兵器の開発を成功させていました。
実は、ドイツもアメリカと同様に原爆開発を進めていました。しかしイギリスの妨害工作により阻止されます。 (ドイツの原爆開発は『ヘビー・ウォーター・ウォー』というタイトルでドラマ化されています。)
戦後にソ連もアメリカに対抗するため核兵器開発を研究していたナチスドイツの科学者を引き込みます。V2ロケットなどの核弾頭ミサイルの技術もアメリカ、ソ連の手にに渡ることになります。
ソ連もアメリカに遅れ1949年、核実験を成功させることでアメリカに対抗します。アメリカとソ連の両者はナチスが持っていた核開発の技術とロケット技術を組み合わせて核ミサイルを開発。
ここに核兵器を持った二つの大国の新たな戦争、冷戦が始まります。
戦後の世界は核兵器を持ったアメリカとソ連のに二大勢力により対立します。
戦後の二大勢力の思惑
アメリカとソ連は日本とドイツの降伏後の戦後秩序の話し合いをドイツと日本が降伏するよりずっと前から話し合っていました。
戦後の二大勢力による世界の分割と日本とドイツをどう処理するのかを話し合います。
すでに力を失ったイギリスとフランスの時代は終わり、米ソを中心とした新たな時代に突入します。
その時間軸で考えるとアメリカが日本に2つの原子爆弾を使用した本当の理由が見えてきます。