こんにちは とーしばブログのとしです。
この前、ハリーポッターシリーズを久しぶりに観てました。映画を観ているとホグワーツ魔法学校の建物がザ・イギリスって感じで、なんだかシドニーにいた頃を思い出しました。
何よりハリーポッターといえば魔女や魔法使いと魔法の世界です。
ハリーポッターやファンタジー映画や小さな小説には、いろいろな魔法や精霊や魔法動物が登場します。
ヨーロッパってキリスト教が作った文化以外にも、いろいろなところでキリスト教以前の古代ヨーロッパ文化の名残りも見られます。
代表的なのが、例えば毎年10月31日にお化けの格好をしてお菓子をもらうイベントのハロウィン。
これは古代ケルト文化の名残りでアメリカに移住してきたアイルランド移民がアメリカに伝えた文化と言われています。
他にも有名なのが、クリスマスツリーで、これも古代ゲルマン民族の樹霊崇拝文化の名残なんですね。
このような【忘れ去られた古代ヨーロッパ文化】についての解説は、ハイリンヒ・ハイネ[流刑の神々、精霊物語]の内容がとても参考になりました。
ハイネの本では、キリスト教の考えがヨーロッパに広がっていく中で、ヨーロッパにもともとあったゲルマン人だったりケルト人がもともと持っていた土着信仰が忘れ去られ追いやられたということを書いています。
追放された古代ヨーロッパの精霊と神々
少し前にユリウス・カエサル[ガリア戦記]を読んでいました。この本がかなり面白かったのですが、
ガリア戦記はローマ帝国によるフランス遠征の話です。ローマ帝国は破竹の勢いでヨーロッパ全土を支配していきました。
古代ヨーロッパにはヨーロッパにもともと住む原住民、ゲルマニー人、ガリー人、ケルト人、さまざまな部族がいます。古代ヨーロッパの部族の間では、自然の精霊や古代の神々が信じられてきました。
彼らは、ローマ帝国に最後まで抵抗しますがついには降伏してローマ帝国の支配下に入ります。
ヨーロッパがローマ帝国の領土になるにつれて、もともと住んでいた古代ヨーロッパ民族に対してのローマ化、キリスト教化などの同化政策が行われたのではないだろうか?と思います。
ローマ帝国の文明と文化はヨーロッパの基礎になりますが、ヨーロッパがローマ化していくにつれて各地にキリスト教が広まり土着信仰が次第に忘れ去られていきました。
もともとあった土着信仰は異教・邪教とみなされてしまうようになります。古代信仰の精霊や神々もまた悪魔や魔物へと成り下がってしまいます。
もともと悪魔(ルシファー)も精霊だった
では土着信仰の精霊や神々は、どのように邪教の悪魔や魔物へと変えられていったのでしょうか?
例えば、英語で悪魔をデーモンと呼びます。 古代ギリシャでは精霊のことをダイモーンと呼んでいました。 ダイモーンと呼ばれるものは、人間と神々の間に位置する存在する神聖な存在だったんですね。
他にも悪魔の代名詞であるサタンやルシファーはもともと火の精霊でした。
魔女も古代の土着信仰では空を飛ぶ女神だったんですね。空を飛ぶ女神として有名なものではワーグナーのオペラで出てくるワルキューレが有名です。
シェイクスピア『マクベス』の冒頭に出てくる3人の魔女も元々は神聖な神々でした。
キリスト教が広まるにつれて、もともと人々から信仰を集めた古代の神々や精霊は悪魔とされ、神聖だった森や泉や山には、悪霊や怪物が住むと言われるようになり近づくことさえ禁止になってしました。
このことにハイネは注目して、キリスト教以前の古代の神々について研究をして[流刑の神々]を書いたんですね。
クリスマスツリーは古代ゲルマン信仰の名残り
ハロウィンが終わり11月、12月ごろになるとクリスマスツリーやクリスマスデコレーションを見かける時期ですね。
すでに知ってる方もいるかもしれませんが、実はクリスマスツリーとキリスト教はあまり関係ありません。
クリスマスツリーは古代ゲルマンの樹木への信仰の名残りだと言われています。古代ゲルマン民族では「樫の木に精霊が宿る」とされ神聖視されてきました。ゲルマン神話にもたびたび樫(かし)の木が登場します。
クリスマスに樫の木ではなく、もみの木を使うのは後の時代になってからです。
日本にも御神木と言って木を神聖視したりしますし、樹木と神社には深い関わりがあります。木を神聖視する思想は、日本人にとってもなんだか馴染みの深い感じがしますね。
ドイツをはじめ、ヨーロッパにも古くから山や川や草木など自然には精霊が宿っていると信じられていました。日本人としてはどこか自然に宿る八百万の神々と似ていますね。
このように、ヨーロッパの土着信仰の名残がクリスマスツリーを通して見えてきます。
キリスト教によって土着信仰は跡形も無くなったと思いきや、、なんらかの形で今まで生き延びているんです。
ヨーロッパから古代信仰が完全に無くなったわけではないんですね。
ファンタジー小説や映画グリム童話やアンデルセン。 ディズニーの映画のお話も、もとを辿れば全て古代ヨーロッパの信仰が原型です。
ディズニーの『美女と野獣』や『カエルの王様』に出てるような王子様が動物や魔物に変えられるという話や『白雪姫』に出てくる小人たちなど、もともとは古代ヨーロッパの民話がもとなんですね。
ジブリの[ハウルの動く城]に出てくるカカシのカブもソフィーのキスにより呪いが解けて王子様になりますよね?
あれも、もとは悪い魔法使いに王子様が動物だったり怪物になる呪いをかけられる話も古代ヨーロッパの民話なんですね。
古代ヨーロッパの信仰や民話にはエルフや小人人魚や精霊が出てます。どれも自然に宿る精霊です。
先ほど述べた魔女や悪魔はキリスト教によって変容させられた古代の神々の姿なんですね
ファンタジー小説や映画でおなじみのキャラクターはもともとは古代ヨーロッパの精霊達で、ここでも古代ヨーロッパの土着信仰の名残が見て取れます。
ハイリンヒ・ハイネと柳田國男
ハイネはこの[流刑の神々]の著書で、古代ヨーロッパの神々がキリスト教の広がりにより忘れ去られたことに注目しています。
この本に影響を受けたのが、[遠野物語]の著者の柳田國男です。 のちに日本の民間信仰と民話についての本をまとめました。
本のタイトルは、そこまで有名でないかもしれませんが、その本の中に出てる座敷わらしやカッパ、カラカサおばけなどの日本の妖怪は有名です。
柳田國男は日本の農村や田舎に残るい信仰の形態を研究して本にまとめました。
そして目に見えない存在だった彼らをビジュアル化して有名にしたのが、ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるです。
実は日本とヨーロッパには、人々の自然への信仰など多くの共通点があるんですね。
この本から見えるハリーポッターの世界観とは?
ここからは僕の憶測なのですが、なぜ映画ハリーポッターの世界で人間がマグルと呼ばれ、忌み嫌われるのか? 人間と親しくしたり、恋愛が禁止されるのか?を考えると古代ローマによるヨーロッパのキリスト教化や中世の魔女狩りなどで、弾圧され迫害された歴史があるからではないか?と思いました。
正式なシナリオでは違うのかもしれませんが、、、キリスト教世界で魔法や精霊、魔女が異端とされ迫害されたヨーロッパの歴史を考えると、ハリーポッターの世界で人間(マグル)が忌み嫌われる理由がわかる気がします。
ホグワーツ魔法学校が魔法で外敵の侵入を防ぐようになっていたり、ロンドンのキングスクロス駅9と4/3番線なども人間に存在を知られない工夫てはないか?と思います。
人間の迫害や弾圧から逃れた魔女や魔法使い、精霊や魔法動物がひっそりと生きる世界がハリーポッターの世界観ではないかと思いました。