こんにちは、とーしばブログのとしです。
先日、『金持ち父さん貧乏父さん』の著者、ロバート・キヨサキが書いた『金持ち父さんの金持ちがますます金持ちになる理由』を読んでいました。
投資に興味を持った人なら『金持ち父さん貧乏父さん』を一度は読んだことがあるのではないでしょうか? しかし、僕はこの『金持ちがますます金持ちになる理由』を読んでいくつか疑問を持ちました。
その理由は、、
- リーマンショック前に住宅バブルで不動産投資に成功したエピソードが出ていること
- 小さく書かれた本の注意書き
- 投資ファンドに否定的な意見を述べていること
- 投資は分散ではなく、集中投資を勧めていること
- メリット、デメリットを詳しく語っておらず、一方に偏った意見が目立つ
などです。
他にもアムウェイなどのマルチ商法にも悪用されている本としても注意が必要です。ロバート・キヨサキ自身も『21世紀のビジネス』という本でマルチ商法を勧めています。 さらにキャッシュフローゲームという高額なボードゲームはアムウェイ御用達です。
クレジットカードで不動産を買ったエピソードがヤバい
僕が一番ヤバいと思ったのが[クレジットカードで不動産を買ったエピソード]です。具体的には、クレジットカードで借金して、値段が上がったら売却して不動産ブームでお金持ちになったという成功体験談です。
裏を返せば、不動産を買うためにクレジットカードで借金するというかなり危なっかしい話です。しかも、この内容が書かれた年が2005年頃。ちょうど、リーマンショックの3年前です。
この手の方法で利益を出すには、クレジットカードなどで借金をして不動産を買い、不動産価格が上がれば差額分が利益になります。
しかし、クレジットカードで不動産(住宅)を買うということは、時間が経つ分だけ借金の額が増えます。そして下手に金利が高い支払い方法は家のような大きな買い物をするのに向いていません。
明らかに短期で売って儲けるという手法であり、土地や住宅の価格がどんどん上昇するようなバブル状態でないと使えない方法です。バブルで価格が上昇すればいいですが、暴落すれば莫大な借金しか残らないという、明らかに危ない賭けです。
著書『金持ち父さんの金持ちがますますお金持ちになる理由』では
1995年から2005年の間に低金利を活用して借金をし、不動産投資をしていた人は史上最大の不動産ブームで大金持ちになった。富を増やすための借金の使い方を心得ていることが。お金持ちがますますお金持ちになる理由の一つだ
と述べています。
借金についても、「借金するのが問題なのではない。借金で何を買うかに予定って問題が起こることもあると言うことだ」 とありますが、借金して不動産や株を買うリスクについては述べられていません。
しかし、2008年のリーマンショックの時に、不動産投資をしていて奈落の底に転落したアメリカ人は少なからずいたでしょう。不動産バブルの崩壊で酷い目に遭ったアメリカ人の顔が目に浮かびます。
しかし、著者もこの本の内容を間に受けて、リーマンショックで酷い目にあった人の責任は取らないでしょう。せいぜい『勉強不足だ』とか『自己責任だ』と言われるのがオチです。
それを裏付けるように小さい文字で注意書きが書かれています。
小さく書かれた注意書き
ここで注意してほしいのが、ロバート・キヨサキと出版社自身がこの本の内容に一切の責任を持たないことを言及しているところです。
以下、注意書き
著者及び出版元は、法律、ファイナンスその他の分野に関する専門的アドバイスを与えることを保証するものでは無い。
法律や実務は国によって異なることが多いので、もし、法律その他の専門分野で助けが必要な場合は、その分野の専門家からのサービスの提供を受けていただきたい。
著者及び出版本は、この本の内容の使用、適用によって生じた、いかなる結果に対する責任も負うものではない。
⇒つまり、【この本を参考にして投資で被害を受けても保証しませんよ】とわざわざ小さい文字で書いているんですね。
要は、この本に感化されて、投資、投機の危ないつり橋を渡って、奈落の底に転落しても、著者と出版社は何も保証してくれないということです。
・専門的アドバイスは保証しない
そして、【法律、ファイナンスその他の分野に関する専門的アドバイスを与えることを保証するものでは無い】と述べています。しかし、強気な発言をする割には、訴えられないように、ちゃんと逃げ道も作ってある辺りが、いろいろ矛盾してますよね?
投資ファンドに否定的な意見
そして他にもこの本で違和感を持ったのが、投資ファンドに対する否定的な意見です。
僕は!長期投資のためにニュージーランドの投資ファンドで投資をしていますが、ロバートキヨサキ氏は投資ファンドに対して否定的です。
もちろん、アメリカの投資ファンドについて書かれているので、状況が違うからだとも思います。
しかし、著者は酷い言い方で、『投資委託(投資ファンド)は負け犬のためのもの』とまで言い切っています。
この本では始終投資ファンドについて否定的な意見を見かけます。「投資ファンドはお粗末だ」とも言っています。
しかし、本来、投資ファンドとは【投資のプロ】が経験をもとに確実にリターンを出せるように株の銘柄を管理しています。
⇒その見返りとして、投資のプロに何%かの手数料を払うわけですから、本来ならWin Winのはずです。
そして、本の冒頭部分で、とある番組が投資のことを取り上げて、IT株を中心にした投資ファンドを紹介しています。
著者はこのIT系投資ファンド、特に投資ファンドに否定的だったのですが、今の時代から考えたらITに投資するというのは、もはや常識です。逆に著者が勧めていた不動産投資はリーマンショックで大暴落しています。
そして、この本では投資ファンドに対して、手数料を払わないといけないことや、手数料を払うことで投資のパフォーマンスが落ちるなどと書いてますが、投資の利回りが高くてもリスクが高くなるデメリットについて十分な説明をしていません。
あのウォーレンバフェットですら、投資利回りは10%くらいだと言っているので、投資利回り20%、30%はかなり危ない賭けです。
この本は、最初に投資ファンドなどを否定して、あとから著者がオススメする投資のやり方に誘導するような内容になっています。しかし、本の内容に責任は一切取らないと述べています。この点もいろいろ怪しいなと思いました。
投資は分散ではなく、集中投資を勧めている
この著者は分散投資ではなく、集中投資を勧めています。
ここで注意してほしいのが、
分散投資→消極的投資(素人の投資)
集中投資→積極的投資(プロの投資)
という分け方をしており、積極的投資家として、集中投資を勧めています。ここでも双方のメリットとデメリットを詳しく説明していません。
なぜ、分散投資をすると素人なのかが謎です。この辺のお粗末な説明の仕方も怪しいです。
以外、引用文
本当に問うべき事は、あなたはプロの投資家になりたいのか、それとも素人のままでいいと思っているのかと言うことだ。もし、素人、つまり消極的な投資家でいいと思っているなら、もちろん分散投資をすべきだろう。分散投資をすれば、「すべての卵を1つのカゴに入れる」事は避けられる。2000年にITバブルが弾けたときのように1つの産業が不信に陥っても、ポートフォリオに及ぶ影響は限られる。
しかし、もしあなたがプロの投資家になると心に決めているなら、集中して取り組み、時間をかけて学ばなければならない。
と述べています。
しかし、大多数の人は、専業のトレーダーや金融機関で投資家として働くのではなく、別に本業があり自分の給料の一部を投資に充てていると思います。
金融機関で働いて投資をやるならまだしも、一般の人には分散投資や投資信託の方がどう考えても向いてると思います。
この消極的な投資家という言い方が疑問です。そして、集中投資を勧めている割には、一つの株だけに投資して受ける危険性について詳しく語っておらず、一方だけを称賛するような言い方にも違和感しかありません。
もし、この本の内容に従って、リーマンショックの時に不動産だけに全てのお金を投資していたらと考えると、いかに危ないことを言っているかが分かります。
金持ち父さんは不動産投資がメイン
金持ち父さん貧乏父さんに始まり、この本の中でロバートキヨサキ氏がメインで扱っているのが、不動産投資です。
不動産投資(不動産経営)を不労所得だと言ってますが、実は不動産は不労所得ではありません。
不動産は費用がかかりますし、管理が必要で、管理費や維持費、修繕費、購入費、住人の入居管理や手続き、トラブル解決など、やることも多いので、[楽して何もせずに不労所得を得る]というイメージとは違います。
この本を読んで
不動産= 不労所得という間違ったイメージを持つ人も多いのでは?と思いました。
このように、著者の怪しい投資の知識のオンパレードなので、[金持ち父さん貧乏父さん]が有名なわりには、この著者の言うことに、そもそも信憑性があるのか疑問ですね。
最後に
そもそも、上がり下がりを予想して、あれこれ言ってる投資本や投資のトレンドについて語る本自体が当てにならないです。
著者もIT系投資ファンドより不動産だと言っておきながら、2008年のリーマンショックでは不動産が大暴落して、その後、IT系はアップルやGoogleに代表されるようなIT系株が大幅に伸びました。
不動産を【不労所得】だと言ったり、投資ファンドは【負け犬】だと言ったり、集中投資を【積極的投資家】だと謎理論を言ったり、クレジットカードで不動産を買うエピソードが出てきたり、いろいろ破綻している部分が目立ちます。
このように、この本の内容は、なんの先入観も無しに、鵜呑みにすると酷い目に遭いそうなことが、ところどころ出てきます。
そして、著者自身が、この本の内容に責任を取らないと小さい文字で書いているので、この本の内容については言うまでも無いでしょう。