こんにちは、とーしばブログのとしです。
この前、ベルリン在住の日本人、ドイツ人の交流会で知り合った日本人(大学教授で経営学を教えている人)の方と日本語ペラペラのドイツ人の方の紹介でKøpi という映画館で黒澤明[用心棒]を観てきた。
このKøpiは、この建物の地下にあるんですが、見た目は廃墟っぽい場所なんですよね。実は映画館でかなりアングラな雰囲気でめっちゃ古き良きベルリンっぽかったです。
映画館の建物はパッと見は寂れてるんですが、建物の中はリノベーションされて隠れ家のような雰囲気のバーと映画館になっていました。しかも知る人ぞ知る秘密の場所で建物内の写真撮影も禁止でした。
まさかドイツで日本の古典映画を観るとは思わなかったのですが、黒澤映画は世界的に人気な映画監督で、海外の人と日本映画を観るのは面白かったですね。
見た目は時代劇でフォーマットは西部劇
映画の内容としては、見た目は時代劇なだけで、ストーリー展開やフォーマットが完全に西部劇です。
俳優さんも今のような顔の綺麗なジャニーズ系の俳優ではなく、日本の古典的な渋い感じのカッコいい俳優さんでしたね。
映画で話される日本語はやや古く、しかも早口で喋るので映画館では英語の字幕があって助かりました。
映画の内容としては、三船敏郎 演ずる主人公が とある町にやってきて町を牛耳ってるギャングを成敗する話だけど、時代劇×西部劇という感じです。
主人公は、用心棒というか、むしろバウンティーハンター(賞金稼ぎ)で敵でも味方でもなく、報酬で動くというスタンス。
主人公は「奴らを成敗するのに いくら出せる?」というやり取りをギャングに苦しめられる町人たちしていたり。ギャングたちが町で暴れ回っているのを窓からこっそり見るという演出も西部劇のようです。
主人公は、敵でも味方でもないので、時には高みの見物と言わんばかりに塔の上に登り、ギャングたちの闘争を面白おかしげに遠くから見ていたりするあたりがまさしく、値主人公は的でも味方でもない中立的な立場だということを象徴していました。
そして、見事 悪人を成敗して賞金を受け取ると町を去っていく。映画の終わり方も、主人公の立ち去る後ろ姿に砂埃が舞う町の背景で完全に西部劇の終わり方です。
スターウォーズに影響を与えた黒澤映画
こうしたキャラクターはのちのスターウォーズで登場するボバフェットなど賞金稼ぎキャラにも影響を与えています。
こうした黒澤映画の映画はスターウォーズに随所に見られ、例えば[用心棒]のシーンで主人公に切られた敵キャラの腕がポトっと落ちるシーン。
これは、スターウォーズEP4でも、オビワンがモスアイズリーの酒場でエイリアンの腕を切り落とすシーンの元ネタかな?っと思いました。
そして、シーンが切り替わる時の演出もスターウォーズと用心棒には共通点が見て取れました。初期のスターウォーズに見られるスクリーンが右から左へ暗くなるシーンなんかは、黒澤明映画の影響だなと思いました。
そして、さらに用心棒の主人公が敵に捕まりアジトから脱出して床下から出てくるシーンもEP4でハンソロがファルコン号で密輸品を隠す床下から出てくるシーンとよく似ています。
予備知識がなくても観れるからこそ外国人にも受け入れられやすい
そして面白いと思った点として、歴史的な予備知識が必要ないということ、悪く言えば江戸時代の とある町にやって来た主人公が町のいざこざに巻き込まれるというただそれだけのスケールの小さい話なんですよね
これにより、日本史の予備知識が無い外国人でも楽しめる工夫がされていると思いました。
ここでもし、日本史の実際の出来事や歴史上の人物が出てきたら、日本史を知らない外国人だと楽しめないだろうし、むしろこうしたストーリーのシンプルさが海外の人にウケたのだと思います。
そして、一度は敵キャラに負けた主人公が再び敵とあいまみえて打ち勝つというストーリー展開は、ロッキーやスターウォーズ、日本の少年マンガに至るまで共通の王道パターンで、こうしたストーリー展開も人々の心をつかんだのでは無いかと思います。
一度は負けて復活して敵を打ち負かすという王道のストーリー展開、西洋人、とりわけアメリカ人には、お馴染みの西部劇のフォーマットを駆使して、サムライという日本文化と西部劇をミックスしたストーリーが広く海外の人に受け入れられたのでは無いかと思いました。
自分としては、スターウォーズの元ネタが随所に見られ、あまりにもベタなザ・和風 西部劇という感じのこの映画を観ていて非常に興味深い映画でしたね。