こんにちは、とーしばブログのとしです。今回はオーストリアにあるマウトハウゼンを2019年12月に訪れた時のエピソードです。
マウトハウゼン強制収容所とは、ナチスドイツ時代の強制収容所の一つです。 ドイツではなく、オーストリアにある収容所で、Netflix で「マウトハウゼンの写真家」という実話をもとにした映画がオススメです。映画は1時間50分ほどです。
【マウトハウゼンの写真家】
スペイン内戦で敗れたスペイン人捕虜がマウトハウゼンに連行されて、ナチスの強制収容所の実態を知り仲間と協力してナチスの残虐行為を証拠写真を残して、アメリカ軍によって強制収容所解放から解放されるまでの話です。
このマウトハウゼン強制収容の展示室にも、マウトハウゼンの写真家の実際の写真が展示されています。
↓英語版ですが、マンガもAmazonで買えます。
この映画に出てくる[死の階段]もマウトハウゼン強制収容所のすぐそばにあります。ウィーンで乗り換えで行けば、日帰りできます。
ウィーンからリンツまで
マウトハウゼンに行くには、ウィーンからリンツまで1時間半で電車で行きます。ウィーン中央駅から長距離電車が出ています。リンツからはバスに乗って40分ほどです。
リンツで時間があったら、ちょっとした観光もできます。
長距離電車はネットで予約できます。お値段は直前に予約して30€〜40€ほどです。前々から予約すれば10€ほどで予約できます。
【RailEurope】
バスは直接行けるバスや乗り換えをしないといけないバスもあるので、所要時間は40分〜1時間ほどです。
郊外にある強制的収容所から分かること
Googleマップで確認するとリンツ郊外にナチスの強制収容所があることが分かります。
戦後になって多くの市民がナチスの残虐行為を知ることになるのですが、位置関係からしても実態を直接知るのは難しかったのかもしれません。
しかし、煙突の煙(遺体を焼いた煙)やユダヤ系の人たちが夜中に連れ去られ姿を消したり、噂で恐ろしい収容所があるということは、間接的には知っていたのだろうと想像できます。
もちろん、強制収容所は軍の最高機密なので、軍の関係者以外は、詳しく知らされてなかったというのが本当のところだと思います。
たしかにマウトハウゼンの高い壁のせいで、施設内で何が起こっているのか遠目から見ると全く分かりません。
そして軍の関係者の家族すら、強制収容所について知らされていなかったと言われています。
[縞模様のパジャマの少年]という小説では、主人公の父親が強制収容所の所長ですが、そういった強制所の関係者の家族の実態について知ることができます。映画にもなっているのでぜひチェックしてみてください。
マウトハウゼンまでの道のりが衝撃的だった
Googleマップにあるようにマウトハウゼンは丘の上にあるので、バス停で降りてから30分ほど歩くことになります。
あのマウトハウゼンに行く途中までは、のんびりとした田園風景が広がっています。僕が行った時は晴天で青々とした空が広がっていました。
鶏などの家畜も見ましたし、畑があってなんだか、あのナチスの恐ろしい収容所があった場所とは思えませんでした。強制収容所への道のりは全くの別世界です。
ナチスをテーマにした映画やドキュメンタリーだけを見ていたら、とても想像できませんが、のどかな優しい世界とナチスの暗い歴史が同居している光景に衝撃を受けました。
マウトハウゼンの塀の内側と外のギャップ
マウトハウゼンの高い壁によって外の世界とは完全に切り離されている印象を受けました。
マウトハウゼンの塀の内側と外で区切られた世界が、ある意味では現代の自分たちの住んでいる世界の隔たりにも似ています。
SNSやテレビのニュースなどで流れてくる紛争やテロ、災害のニュースなどもどこか自分達の日常と切り離されていてどこか別の世界の出来事に思えますよね?
ナチスによるマウトハウゼンの実態を知らなかった当時の人たちにも罪はありますが、世界で起きている現実を見て見ぬフリをしている生きている自分たちのにも同じような部分があるように思いました。
僕としては、マウトハウゼンの展示と同じくらい外の光景が衝撃的でした。
しかも、アメリカの悪名高いグアンタナモ収容所のようにマウトハウゼンと似たような出来事が世界のどこかで起きていると思うと、やはり行って見る価値は十分にありますし、見ておくべきだなと思いました。
マウトハウゼン・メモリアル
マウトハウゼン・メモリアルはだいたい3時間ほどで見て回ることができます。
ガス室や強制収容所の跡、遺体を焼く煙突や火葬場もあります。この連結された火葬場はより効率的に素早く、そして大量の遺体を焼くために、こういう仕組みになっているみたいです。
聞いただけで恐ろしいのですが、全てが効率化されシステム化されたまさに殺人工場だったことが分かります。
人体実験の施術台や監獄など、衝撃的展示も当時のまま残されています。
各国の犠牲者のためのモニュメントや花が添えられていたり、犠牲になった人たちの写真などもありました。
これは強制収容所のバラックです。多くは取り壊され一部残っています。
死の階段までの行き方
マウトハウゼンで有名なのが、いわゆる【死の階段】です。丘の上から見下ろすかように階段を一望できます。その後ろの方には田園風景や家が見えます。
のどかな風景とナチスの死の階段が同居している光景がなんとも恐ろしいです。
マウトハウゼンメモリアルからは遠目からしか見ることができないので、一度マウトハウゼン・メモリアルから出て坂を遠回りして降りなければいけません。
死の階段は入り口は閉鎖されているのですが、googleマップにあるように周り道で20分ほど歩けば行くことができます。ちょっと遠いのですが一見の価値はあります。
周りは、こういう感じの原っぱと崖です。パッと見は、なんの変哲も無い階段に見えますが、ナチス関連の負の遺産として有名で[マウトハウゼンの写真家]にも登場します。
これが当時の写真です。重い石材を運ぶ時に重さに耐えきれず多くの人が犠牲になったと言われます。
その【死の階段】を登るナチス高官たち、あのナチス幹部ヒムラーも視察に来ていたようです。
このマウトハウゼンという場所は、まさに自分たちが歴史の上に立っているということを実感させてくれます。
マウトハウゼンは、パッと見は分かりにくい場所が多いだけに当時の様子を想像しにくいです。なのでドキュメンタリーや映画などで予習して訪れるのをオススメします。